【お天気豆知識】台風の危険半円について

今回の記事は“お天気豆知識”として、「台風の危険半円」を取り上げました。気象予報士試験の勉強を始めたばかりの方や気象に興味のある一般の方には、ぜひとも知っておいてほしい内容です。

今年(2012年)の台風の進路を辿ってみると、沖縄付近を通過している数が多いような気がします。事実、台風7号、11号、15号、16号、17号は、いずれもそうです。(9月30日現在)

ところで、台風が接近すると暴風に対する警戒が一段と強まります。台風の中心が通り道となると予想される地域ではなおさらではないでしょうか。そんなとき、“台風の危険半円”のことを知っておいてほしいのです。

下の図1をご覧ください。中心の眼もはっきりした勢力の強い台風です。

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                図1

この台風が現在、沖縄方面に向かって北上中としましょう。では、図2のように、台風の中心を通る進行方向を軸にして、右半円と左半円に分けた場合、どちらのほうが風がより強く吹くと思いますか?

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                図2

図3をご覧ください。台風の風は中心に向かって反時計回りで吹き込みます。右半円では、台風の進行方向と同じ向きに風が吹いています。一方、左半円では台風の進行方向と逆向きに風が吹きます。お気づきでしょうか。

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                図3

そうです。右半円では、台風に吹き込む強い風と台風自身の移動速度が重なり、風がより強まるのです。一方、左半円は、台風に吹き込む風が台風の進む向きと逆になり、風の強さが相殺されて弱まります。

例として、図4の場合、右半円にあたる紀伊半島や東海地方で風がより強まります。また、内陸には、紀伊山地や中央山地があるため、強い風が山にぶつかり、山地の南斜面側にあたる地域では、大雨にも注意が必要になるのです。さらに、風が吹き付ける沿岸部は、高波や高潮にも警戒が必要です。

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                図4

このように、台風の進行方向に対して右半円では、風がより強まり、風が吹き付ける山の南東斜面では大雨、沿岸部では高波や高潮にも警戒が必要です。

とはいえ、左半円が安全だ、ということではありません。台風接近による強風や強い雨は、左半円でも強烈です。ただ、それよりも右半円のほうがより強いというだけのことです。そのことを忘れないでくださいね。

今度、台風が接近するときがあったら、自分の地域は、右半円に入るのか、左半円に入るのかを確認してみてください。防災に対する意識が一層高まるはずです。

※今回の記事は、“天気検定ブログ”にも掲載されています。天気検定ブログのほうには、記事に関連したクイズ形式の“一問一答”も載せていますので、ぜひともチャレンジしてみてください。天気検定の試験対策にも通じますよ。

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